静岡県選手権2011開催リポート・番外編その3


 第六部:浜松参戦記

大会参加に至るまで

鈴木陽介さんと知り合ったのは2年前のことでした。東北選手権の翌日に仙台で開催された渡辺暁さんのチェスレクチャーにてお会いし
て、色々お話ししたのがきっかけでした。(注1)

日本各地へ遠征し、さらには自らチェスサークルを設立・運営される鈴木さんのチェスへの熱い気持ちに打たれ、私もいつか浜松チェスサ
ークルへ伺うことを約束しました。
しかし、実際のところ仙台から浜松は距離が遠く、大会参加などで日帰りするには厳しいため、なかなか参加できる機会がありませんでし
た。今回の静岡選手権では、ちょうど大学で試験がすべて終わり春休み期間になったこと、さらに鈴木さんが浜松で代表を務める最後の
大会ということもお聞きし、参加を決めました。もちろん、全国大会の出場権獲得も目標でした。
(注1)http://www.geocities.jp/tohokuchess/report/act090330/act090330.html

大会前日

大会前日の朝6時に仙台の家を出発し、新幹線を乗り継いで浜松へ。日帰りできないのなら、早く行ってゆっくり浜松観光をしようと思って
の前日入りです。仙台では雪が降っていたのに、浜松はもう春の陽気だったので驚きました。

浜松駅で鈴木さんに迎えていただいて、蜆塚遺跡まで送って頂きました。貝塚や住居の復元もあり興味深かったです。続いて、徒歩で鈴
木さん推薦の犀ヶ崖古戦場。三方ヶ原の戦いの後、徳川軍が武田軍に一矢報いた古戦場ということで、知る人ぞ知る名所だそうです。併
設の資料館の方も熱心に説明して下さいました。そして浜松城。天守閣からは浜松の町並みが一望できました。

駅近くに戻り、最後に楽器博物館へも足を運び、浜松観光を楽しめました。
夕方には鈴木さん、高安さんと合流し、会場の下見や幻の対局、そして一緒に夕食と、大会前に交流が深めることができました。

大会

大会当日、会場へ来て試合開始を待っていたところ、渡辺暁さんがいらっしゃったのには驚きました。また各地から多くの参加者の方がい
らっしゃり、大会独特の緊張感もありました。
今大会私はリスト4。頑張れば代表権も狙えそうです。気を引き締めました。

1R

1Rは初対戦の飯塚さん。
昨年末の学生選手権以来、学業が忙しく、これが2011年初公式戦となったので少し緊張しました。試合は私の白番でジオッコ・ピアノに。
序盤から少しずつリードを広げていき、久々の実戦で勝利を収めることができました。

2R

2Rはこれまた初対戦の秋山ヒメナさん。かねがね浜松チェスサークルのHPでお名前を拝見していて、対戦してみたかった方でした。

□秋山ヒメナ1761
■三村健介1815
静岡選手権2011(2)
シシリアンドラゴン

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 g6 6. Be2 Bg7 7. Be3 O-O
8. O-O Nc6 9. f4 Qb6 10. Qd2?(図1)



チャンス到来です。慎重に読みました。ここでは白は10.Na4がよかったようです。

10.. Nxe4 11. Nxc6 Qxc6 12. Nxe4 Qxe4 

これでワンポーンアップです。
13. Bf3 Qc414. Bd5 Qc7 15. c3 Bd7 16. Rae1 Bc6?!

ゆるい手でした。白に反撃のチャンスを与えます。
16... Rac8 17. Kh1 b5 18.Bd4 Bxd4 19. Qxd4 e6 20. Bb3 Qc5 などと展開すべきでした。

17. f5 Bxd5 18. Qxd5 Qc6 19. Qb3 a6 20.fxg6 hxg6 21. Bg5 Qc5+ 22. Be3 Qc7 23. Bg5 e6
24. Bf6 b5 25. Qd1 d5 26.Bxg7 Kxg7 27. Qd4+ Kg8 28. Rf3 Qa7 (図2)



白がキングサイドから反撃を見せますが、クイーン交換に持ち込むことができ、
ポーンアップが生きるエンディングに持ち込むことができました。

29. Qxa7 Rxa7 30. Rf6 Rc8 31. a3 Rc4 32.Rf3 Rac7 33. Rd3 a5 34. Ree3 b4
35. axb4 axb4 36. cxb4 Rxb4 37. Rb3 Rc1+ 38. Kf2 Rc2+ 39. Kg3 Rxb2
40. Rxb2 Rxb2 41. Rd3 Rb4 42. Kf3 Kg7 43. g4 g5 44. Kg3 f6 45. h4 gxh4+
46. Kxh4 f5 47. Rg3 Kf6 48. Kh5 Rxg4 49. Rxg4 fxg4 50. Kxg4 Ke5
0-1

ここまでで2Pと順調にポイントを重ねることができました。

3R

3Rは、なんと一番ボードで渡辺暁さんと。昨年の全日本選手権で対戦いたしましたが、ここで2回目の対戦となりました。今回は私が白
で、シシリアンナイドルフに。ポイズンド・ポーンバリエーションに踏み込むかどうか迷いましたが、暁さんに胸を借りるつもりで思い切ってポ
ーンを捨てて踏み込みました。 ・・・が、理解が不十分だったこともあり、圧倒されました。チェスの厳しさを存分に教えていただいた一戦
でした。


4R

そしていよいよ運命の最終局4R。私は3Rまで終わって2Pなので、なんとかあと1Pはほしいところでした。私のペアリングは、黒で同じ2P
で並ぶ神田さんと。神田さんとの対戦は実に3年ぶりでした。前回対戦したのは私がまだURだった頃の2008年の百傑戦で、熱戦の末ドロ
ーになったのを覚えています。その後も大会などではお会いしていますが、不思議と対戦する機会がありませんでした。神田さんは東北
大学のHPもよくご覧になってくださり、日々叱咤激励して下さっています(笑)

今回の対局についての詳しい解説は神田さんがレポートされているので、そちらにお譲りいたします。神田さんの攻めを受け、ワンポーン
アップを確定させてやや優勢になったと思いきや、気迫の攻めにポーンを返す展開になり、互角の局面になりました。

最後はドローを申し出たところ、快く受けて下さり、神田さんと私は2.5Pで並んでフィニッシュ。後は他の対局の結果待ちです。
全ての対局が終わり、私は2.5Pのタイブレークの中で上位となり、幸運にも3位と全国大会出場権をいただくことができました。

大会を終えて

浜松チェスサークルによる静岡選手権は運営もスムーズで、また大会に参加された方も和気あいあいとされていて、とても楽しくチェスの
対局ができました。またいつか機会があれば、浜松に足を運びたいと思います。

大会後、3月に東北地方太平洋沖地震が発生し、仙台も被害を受けましたが、ようやく落ち着いてきました。4月下旬まで休校となってい
た大学もまもなく再開します。

全国大会は浜松で頂いた代表権を持って、頑張りたいと思います。
今回、鈴木さんをはじめ、お世話になった皆様に感謝いたします。ありがとうございました。


寄稿日:2011年4月21日
掲載日:2011年4月24日
校正日:2011年―月―日
著者;三村健介さん
編集:鈴木陽介


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