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浜松チェス講座への補足


1.2009年秋に浜松にて開催されたチェスセミナーに対する補足

作成日:2010年4月25日
作成者:FM 渡辺 暁 氏

2.浜松チェスサークル代表より(あとがき

作成日:2010年4月26日
作成者:浜松チェスサークル代表 鈴木陽介

発行:浜松チェスサークル


2009年に浜松にて開催されたチェスセミナーに対する補足

鈴木さんはじめ浜松チェスクラブの皆様、
昨年(09年)11月のセミナーに参加してくださった皆様、
そしてこちらのページをこれまでにご覧になって下さった皆様へ..

まずはお礼申し上げます。5月のバブーリンさんのセミナーに続き、浜松にうかがうことができて、またお話をさせ
ていただいたり、そのあと大会に出て有望な若い皆さんと試合ができたのは非常に楽しかったです。また、浜松
はブラジルを始めラテンアメリカからきている人たちが全国的に見ても多い町でもあり、そういった意味でもラテ
ンアメリカの現代社会を研究している私にとっては思い出深い旅となりました。実際試合後にブラジル人のやっ
ているパン屋さんにいって、おいしいブラジル風のチーズパン(パゥンジケージョ)を食べたり、コンビニの店員さ
んの名札にもラテンアメリカ風の名前を見かけたり、そして公民館にポルトガル語のアナウンスがしてあるのを
見て、こういう日本の中のラテンアメリカ社会について、何か研究者として・スペイン語ができる人間としてできる
ことはないのかなあ、なんて思ったりもしました。

さて、セミナーについて、ちょっとあのままではわかりにくい部分、そして明らかにおかしな部分があるなあと思っ
たので、遅ればせながらいくつかコメント(言い訳?)をさせていただきます。まずはバブーリンさんのセミナーと
比べてあまりに内容が薄く間違いも多くて、申し訳ないのと同時にお恥ずかしい限りなのですが、まあ比べること
そのものがおこがましいのは別としてよくよく考えてみると、私のほうは序盤についての話で、また序盤の変化は
正直言って無限ですべてを予習しておくのは不可能に近い(しかもこのとき私は本当にごく限られた変化につい
てしか準備してなかった)ので、まあ仕方ないかな、と思っております。

私がどうしてもお伝えしたかったポイントはこのレクチャーをまとめてくださった鈴木さんが最後にうまく書いてくだ
さったように、あの変化においては、ナイトをc6に出してd4のナイトを牽制する形にしておくこと、一見無意味に見
えるルックをe8に回る手が非常に重要な意味を持つと言うこと、そしてe5とどこかで突き出すことで白にばかり主
導権を持たせないこと、その3つでしょうか。それがわかっていないと、黒は簡単につぶされてしまうことになりま
すし、e5の手がうまく入れば逆に、講座でふれたような黒十分の局面になるわけです。

もちろん白もそのことは承知していて、多くの場合は12.Qe1以外の手を指して12…e5のような手を簡単には許さ
ず、そして黒の側も…e5などの狙いを持ちつつも我慢して自陣をうまく整備し、難しい中盤戦に突入して行くわけ
ですが、その程度の序盤の常識がまだまだ日本のチェス界には伝わっていない気がしたので、あえてそのよう
なテーマを選ばせていただきました。

今回扱ったのはシシリアンのシェヴェニンゲン変化ですが、もちろんこの話は他の定跡をやっている人にも有効
なものだったと思います。というのは、どの定跡にもここで扱った…Re8, …e5のような鍵となる手はあるはずだ
からです。そして多くの場合、そうした基本的な手さえも知らずに定跡を指している人が多いのも、残念ながら現
状なのです。従ってこのレクチャーの記録を見たからといってシシリアンをやる必要はないし、そうしていただい
てもやけどをするだけでしょう。むしろこれを読んでくださった皆さんには、ご自身が得意としていらっしゃる形に
ついて、どのような基本的なアイディアがあるのかを再確認し、それらを様々なパターンのなかで応用するくせを
つけていただきたいと思います。そうしていただくことができたら、序盤の考え方の一講座として、このレクチャー
と鈴木さんががんばってノートをとって再現してくださったこのページの存在意義も高まるのではないか、と思い
ます。

なお最後に一つだけ、これは明らかに論理的におかしいので訂正しておきたい、という変化をご覧いただきたい
と思います。

1.e4 c5 2.Nf3 d6 3.d4 cxd4 4.Nxd4 Nf6 5.Nc3 a6 6.Be2 e6 7.0-0 Be7 8.f4 Nc6 9.Be3 Qc7 10.Kh1 0-0 11.a4 Re8
12.Qe1 Nxd4 13. Bxd4 e5 となって、

 

14. Be3のあと、14... exf4 15. Bxf4とせずに単に14... Be6とした場合は、

こちらのやりとりに書いてあるように15. Bf3ではなく、
(それなら黒は15… exf4とすれば、14... exf4 15. Bxf4 Be6の変化に戻せますね)

15. f5 と突き出すのが本筋だと思います。
(この形を防ぐために黒はf4のポーンを交換するのです)

 

以下15…Bc4 16.Rd1くらいで白がよいように思えます。他にも手はあるでしょうが、d6-d5を突く手を許さず、d5の
マスをうまく弱点にしていけば、白が指しやすくなるでしょう。

こんな感じです。もちろん他にも問題はあると思いますが、そのあたりは定跡書を参照していただければと思い
ます。ただ、定跡の手順をただ単に勉強するだけでなく、その中で鍵となる手順をちゃんと意識し、それが見た
局面と必ずしも一緒ではなくてもちゃんと使えるようにしておくこと、それが重要だということです。

最後になりますが、先日私の初めての本が(しかもお手伝いした翻訳書[こちらは『火山の下』といいます:文学
好きの方は是非こちらも]と立て続けに)出ました。いつも申し上げているように、チェスの考え方に焦点を当て
た(その代わり手順の読みとか、そちらの方については正直それほど扱えてはいないのですが)本です。レーテ
ィングが2000点までの人は十分学ぶところがあると思いますし、レーティングがそれ以上の人は後進の指導の
ためにああこういう教え方があるのか、と思っていただけるところがあると思います。つまりどなたにも読んでい
ただきたい本、ということですので、現時点では間違いが多くてあまり宣伝するのは恐縮なのですが、それが売
れてしまわないと再版による修正のチャンスも生まれませんので、ぜひお手にとって見ていただきたいと思いま
す。


浜松チェスサークル代表より

この度、渡辺暁さんが紹介されている「ここからはじめるチェス」は2010年4月13日付で全国の書店で発売さ
れています。初心者から上級者の方まで幅広いレベルの方が対象になっています。やはり、誰が読んでも得る
ものがある本が良い本だと思います。詳しくは上記リンクより渡辺暁さんのHPをご覧下さい。もちろん実際に本
を買うことは言うまでもありません。

私と渡辺暁さんとの初めての出会いは、2008年5月の名古屋オープンでした。浜松チェスサークルができる前
の話です。この回の名古屋オープンは、全日本チャンピオンをはじめ東京から多数のレーティング2000超のプ
レイヤ―が参加しており、そんな中で優勝した暁さんの強さはとても印象に残っています。
この当時の私にとって渡辺暁さんは「噂のFM」であり、また、対局することもなく、さらに大会後の打上げでは席
が別々だったため、会話を交わすことはありませんでした。

話は飛びまして、浜松チェスサークルができて半年程が経った2009年3月末、私は全日本チェス選手権の予
選のひとつである東北選手権に参加しました。出場権獲得という意味では、広島で全日本の権利をもらえました
のでわざわざ仙台まで行く必要はありませんでしたが、単純に仙台に行ったことが無かったので行ってみようと
いう軽い気持ちで参加しました。ですので、そこでまた「噂のFM」に再開したことにはとても驚きました。

当初の予定では、土曜日に仙台入りして市内を少し観光し、日曜日に選手権に参加し、休みを取った月曜日に
18切符を使って在来線でえっちらおっちら帰る予定でした。
しかし、選手権後の打上げで、仙台チェスクラブ代表の高橋さん、東北大学チェスサークルのメンバーの皆さん
と共に渡辺暁さんと会話をする機会があり、そこで初めて、翌日に暁さんのチェスセミナーが開催されることを知
り、急遽予定を変更して新幹線で帰ることにしました。
浜松にチェスサークルができたこともこの時に初めて伝えたと思います。

2009年3月30日のセミナー当日、午前中は高橋さんの運転で暁さんと共に3人で日本三景の1つである松島
へ行きました。仙台市内からは車で1時間位の距離だったと思います。私としては、思い掛けない観光となりまし
た。松島で昼食を済ました後、車で仙台市内へ戻り、東北大学チェスサークルのメンバーも加わり、午後1時か
ら5時までみっちり受講しました。

帰りの新幹線では暁さんとご一緒させて頂き、この時に浜松でもセミナーをやろうと言って頂いた時には、とても
感激しました。開催日も、この年の名古屋オープンの前日である5月22日と決めました。chess today 誌につい
てもこの時に初めて知りました。

しかし、「夢の舞台」への道は平坦ではありませんでした。まず暁さんのメキシコ出張と重なるということでで延期
になり、なった途端に例の新型インフルエンザ騒動でメキシコ出張の方が延期となりました。やれやれと思ったと
ころで、今度はchess today 誌の編集長であるGMバブーリン氏が、ちょうど名古屋オープンの頃に来日すること
になるので、そのお世話で厳しいということになり、それならと暁さんの提案でGMレクチャーにしてしまえというこ
とになり、例のGMレクチャーが実現されました。

GMレクチャー自体は、参加したすべてのチェスプレイヤーにとってまさに夢の舞台でしたが、その本編である渡
辺暁さんのレクチャーは結局延期になりました。

話は進んで2009年9月、私は今更ながら例のGMレクチャーのリポートを作成していました。
3月の暁さんのセミナーをリポートとしてまとめ上げた東北大学チェスサークルの三村さんや、浜松と同じく松戸
でも開催されたGMセミナーを松戸チェスクラブでリポートとしてまとめ上げたのに触発されてやりだしました。
そんな中、渡辺暁さんから10月31日と11月1日の両日に開催される「第1回浜松チェストーナメント」への参加
申込があったことにはとても驚きました。しかも大会は31日の午後からなので、当日の午前中に例のレクチャー
をやろうと提案がありました。

会場の予約は既に取っていましたが、急遽31日の午前の予約を取る為に会場へと足を運びました。
しかし待ち受けていたのは、台帳に記入するのを忘れたという信じられないミスで、取ったはずの予約が取れて
ないばかりでなく、既に別の予約が入っているという事態でした。
こちらも紆余曲折を経て部屋を確保するに至りますが、もし暁さんからレクチャーの提案が無ければ大会当日
まで会場に足を運ぶことは絶対なく、よって当日になって会場の予約が取れていないことに気付くという背筋が
凍りつくような惨事となるところでした。

2009年10月31日に浜松で開催された渡辺暁さんのチェスセミナーは、GM来訪と会場確保という思わぬ副産
物をもたらして、成功裏に終了しました。


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